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久保 博孝; 澤田 圭司*
プラズマ・核融合学会誌, 74(6), p.562 - 567, 1998/06
国際熱核融合実験炉では、ダイバータ板への熱負荷を軽減するために、非接触ダイバータ・プラズマを標準の運転モードとしている。従来、ダイバータ・プラズマでは、イオンがダイバータ板で再結合し、中性粒子となってダイバータ板から放出され、それが電離されながら輸送される状態にあると考えられていた。しかし、最近、非接触ダイバータ・プラズマでは、プラズマ・イオンがダイバータ板に到達するまでに再結合する現象(体積再結合)が観測された。この体積再結合は、非接触ダイバータ・プラズマにおけるイオン流束の減少に重要な役割を果たすと考えられている。したがって、ダイバータ・プラズマにおける体積再結合過程の理解は、次期核融合装置の運転モードの検討及び性能評価に重要である。また、低温高密度プラズマ中のプラズマ素過程のひとつとして、体積再結合はプラズマ分光学的にも興味深い現象である。ここでは、ダイバータ・プラズマにおける体積再結合に関する最近の研究を、特に分光診断に関するものを中心に紹介する。